沼田真佑
1978年小樽市生まれ、2012年から盛岡市在住。

東日本大震災を題材にしたデビュー作「影裏」で、2017年、第157回芥川賞を受賞しました。

 

 

新聞で読んだ「夏よ、頑張れ」というエッセーが妙に面白くて、抜粋してみました。

東京の夏は、僕が暮らしている北緯39度の世界よりも確かに暑く感じられる。日差しの強さに大差はないのに、そこかしこに漂う空気の成分それ自体が、北国のそれよりひと回り重く、底にうっすらと暗い熱気を宿している感じが生物的で、やっぱり都会の空気なんだと今のところ実感している。不自然な力で暖められる空気はねっとりと暑く、ときおり妙な悪意を感じて腹の立つこともあるけれど、我慢できないというほど暑いわけではもちろんなくて、地下鉄へ降りたりビルの中に入ったりしてしまえば簡単に熱は引く。路上にいても緑の木陰でペットボトル1本分の水分をとればしのげるくらいだ。

 

<中略>

 

人間よりもはるかにおしゃれで足の運びもどこかしら気が利いている飼い犬たちと、ふとした拍子にすれ違うのは結構楽しい。ある夕間暮れに、千代田区紀尾井町内のとある並木通りをあるいていたら、ため息が出るほど綺麗なテリアとすれ違った。僕は車道を横断しようと立ち止まり、ついでにテリアの後ろ姿を見送っていたら、向こうが急に振り向いた。どうして君はこんなところへ?そんなふうに聞かれた気がして、ちょっと大きな賞をもらったもんでねと心に念じて、テレパシーを送ってみたら、それが通じたかテリアはさっと踵を返し、すたすたとどこかへ行ってしまった。


私は毎月、秋田から東京に出かけていて、沼田氏のこのエッセーには思わずクスッとしたのでした。私から言わせれば、犬どころか老いも若きもビックリするほどの人々だらけですが、ちょっと涼風をもらったエッセーでした。

 

 

さてと「影裏」
いつもの本屋さんに行ってこようかな〜。

 

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